新国立劇場2023/2024シーズンは鵜山演出シェイクスピアのダークコメディ2作交互上演でスタート

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新国立劇場は、2023/2024シーズンの第1弾として、10月18日からシェイクスピアの『尺には尺を』『終わりよければすべてよし』を鵜山仁演出による1つのカンパニーで交互上演する。

新国立劇場では、07年9月より10年8月まで演劇部門の芸術監督を務めた鵜山の演出で09年に『ヘンリー六世』3部作の一挙上演を行い、第17回読売演劇大賞 大賞・最優秀作品賞を受賞するなど大きな話題を呼んだ。その後もほぼ同じ主要スタッフ・キャストによる『リチャード三世』(12年)、『ヘンリー四世』(16年)、『ヘンリー五世』(18年)、『リチャード二世』(20年)と歴史劇の上演を重ねてきた。

今回は、この歴史劇シリーズのカンパニーに新たな俳優も加わり19名の出演者でシェイクスピア作品としてはあまり上演される機会の少ない喜劇2作を交互上演する。

『尺には尺を』と『終わりよければすべてよし』はシェイクスピアが1603年〜04年にかけてほぼ間を置かずに執筆したと言われる作品で、ファーストフォリオでは喜劇に分類されているが、ストーリーがやや複雑で、登場人物も屈折したキャラクターが多く、観客の期待を裏切るようなところもあり、現在は問題劇と分類されることもある。

また、この2作品は女性が物語の中心になって、ストーリー的にも同じテーマを持つ表裏一体のような戯曲であることから、新国立劇場は交互上演に踏み切ったという。

演出の鵜山仁のコメント

物の見た目や物を見る立場が変わると、人の心は他愛無く変化してしまう。加害者のはずが被害者になり、被害者のはずが加害者になる。とすれば「生」の世界はたちまち「死」の世界に、「死」の世界がもしかしたら「生」 の世界に反転するかもしれない。『尺には尺を』と『終わりよければすべてよし』。この二つの「問題劇」にしかけられた二つのベッドトリックは、そんな人生と世界の変容を象徴しているような気がします。

三年に及ぶコロナ禍、僕にとって驚きだったのは、目にも見えない、生物だか無生物だかも判然としないウイ ルスという存在に、世界がここまで翻弄されてしまったことです。そして昨年二月以来のロシアによるウクライナ侵攻は、「戦争」が、実は平穏に見えたわれわれの日常の、すぐ隣に息を潜めていたことを痛感させました。

われわれの目に見えていたのはなんと狭い世界だったのか、ならば舞台という特権的な場では、生きている現実の人間だけではなく、目には見えない世界、死者たちの歴史や、ウイルスも含めた森羅万象、あらゆるものとの交信を心がけたい。ここでは日常生活の利害、効率、善悪を一旦度外視した、遠大、深遠なコミュニケーションが求められます。そのためにあらゆる手段を動員して見えない者たちに呼びかけ、見えない者たちの呼びかけに応えたい。

2009年の『ヘンリー六世』から2020年の『リチャード二世』に至るまで、新国立劇場の舞台で、シェイクスピアの歴史劇を創ってきた仲間たちとの新しいチャレンジ。これを機会に是非、もう一歩先の世界に、分け入ってみたいと思っています。

新国立劇場『尺には尺を』『終わりよければすべてよし』
【スタッフ】
作:ウィリアム・シェイクスピア
翻訳:小田島雄志
演出:鵜山 仁
美術:乘峯雅寛
照明:服部 基
音響:上田好生
衣裳:前田文子
ヘアメイク:馮 啓孝
演出助手:中嶋彩乃
舞台監督:北条 孝
芸術監督:小川絵梨子
【キャスト】
岡本健一 浦井健治 中嶋朋子 ソニン
立川三貴 吉村 直 木下浩之 那須佐代子 勝部演之
小長谷勝彦 下総源太朗 清原達之 藤木久美子 川辺邦弘
亀田佳明 永田江里 内藤裕志 須藤瑞己 福士永大【会場】 新国立劇場 中劇場
【公演日程】2023年10月18日(水)~11月19日(日)

【料金(税込)】
S席 8,800円/A席 6,600円/B席 3,300円 *2作品通し券(S席のみ)15,800円

【一般発売】 2023年8月11日(金・祝)10:00~

【チケット申し込み・お問い合わせ】
新国立劇場ボックスオフィス TEL:03-5352-9999 (10:00~18:00)
新国立劇場Webボックスオフィス https://nntt.pia.jp/

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