MODE「変身」

3月2日(金)ー 13日(火)
劇場=下北沢:ザ・スズナリ
評価:★★★(Good)3/4(昼)所見
●原作:フランツ・カフカ
●構成・演出:松本修
●出演=高田恵篤、小嶋尚樹、中田春介、榎本純朗、加納健詞、齊藤圭祐、栗須慎一朗、石井ひとみ、山田美佳
●美術=伊藤雅子
●照明=大野道乃
●音響=岩野直人(ステージオフィス)
 この2年ほどは唐作品に取り組んできたMODEが、今年は再びカフカに挑戦。世田谷パブリックシアターの開場10周年記念としてこの秋に『審判』『失踪者』(前回公演名『アメリカ』)を上演する演出の松本だが、今回はザ・スズナリで『変身』をとりあげた。


 出演はMODEの旗揚げメンバーのひとりである小嶋尚樹のほか、女優では唐作品でヒロインを務めた山田美佳、また『アメリカ』にも出演した石井ひとみなど。松本は昨年秋に唐十郎の『秘密の花園』を若手中心で上演した際に、ほとんど戯曲に忠実に舞台化していたが、今回の『変身』も同様に戯曲を離れることはない。
 しかしそれが本当に松本の意図するものなのかというと、そうではないような気がする。どちらかというとまだ演出の方向性を固めきれずにいるように思える。ちょうど『AMERIKA』の初演と再演で、エンディングを変えたように、カフカたちユダヤ人を待ちかまえていた歴史的な事実を、どこまで劇中に盛り込んでいくか、その点についてまだ松本は方向性を固めていないように思えた。
 公演後半に松本が構成を変えていくと話していたそうなので、今後の作品の変化に注目したい。
 出演者では高田恵篤の演じるメイドが怪物ぶりを見せて客席を沸かす。最近のMODEで唐作品に主演した若手の山田美佳は、アンサンブル的な作りのこの作品も、滑舌の弱さをのぞけばそつなくこなしてみせた。

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