燐光群『蝶のやうな私の郷愁』

8月1日(火) — 10日(木)

新宿三丁目:SPACE雑遊

燐光群+グッドフェローズ プロデュース 組曲 二十世紀の孤独〜第一楽章「蝶のやうな私の郷愁 改訂版(東京初演)」

●作=松田正隆
●演出=鈴木裕美

●出演=占部房子、坂手洋二

評価:★★★★ (Very Good)8/4(夜)所見

社会性のある題材をユニークな手法で描き注目されている劇団燐光群。 今度の公演は、1991年に松田正隆が書いた『蝶のやうな私の郷愁』、1989年に坂手洋二が書いた『さすらい』、1976年に別役実が書いた『壊れた風景』と、年代を遡る形で3本の既存の作品を連続上演し、20世紀演劇ならではの手法で、社会・人間・文化、個人的あるいは歴史的な出来事にまつわる言語を構成し、20世紀とは何であったかを問い直すものだ。

トップを飾るふたり芝居「蝶のやうな私の郷愁」では占部房子と坂手洋二という異色の顔合わせが実現。さらにこのふたりを燐光群初演出となる鈴木裕美がどう料理するか注目された。
また新しいミニシアターSPACE雑遊のこけら落とし公演としても話題を呼んでいる。新宿御苑そばの雑居ビルの地下を改装したフリースペースだが上の階には日本劇団協議会、さらに劇団☆新感線の制作会社ヴィレッヂが入っている。

さて舞台の方だが、なんといっても占部房子のヴィヴィッドな感性が成功の要因だろう。今あるささやかな幸せが本当のものか常に不安を抱えている若い妻が見せるさまざまな表情を、万華鏡のように見せてくれる。一方の坂手も、予想外にこまやかな演技をしていて、見せてくれる。 演出の鈴木裕美は、難しい戯曲を分かりやすく整理して、若いひと組の夫婦が感じている逃げようのない絶望感を浮き立たせていた。終幕に本水を使って、夫婦のいる部屋が水に浮かんでいたシーンが印象的だった。

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