座・高円寺が『化粧 二幕』、絵本カーニバルなどでオープン

 杉並区立の公共劇場、座・高円寺が、渡辺美佐子のひとり芝居『化粧 二幕』、絵本カーニバルなどのオープニング企画で5月1日に開館した。

 座・高円寺(正式名称・杉並区立杉並芸術会館)は、杉並区が旧高円寺会館の建て替えにあたり、区とのパートナー協定を結んでいる日本劇作家協会からの協力も得て舞台芸術の総合的な劇場として建てた公共劇場。JR高円寺駅の北口から徒歩5分ほどの場所にある新劇場は、地上3階、地下3階すべてが劇場の施設で、伊東豊雄設計によるサーカスのテント小屋のような真っ黒な外観が印象的だ。

 こけら落としとなる演劇公演は、通常は区民ホールとして活用される「座・高円寺2」で渡辺美佐子のひとり芝居『化粧 二幕』。07年に解散した地人会のヒット作として長く上演されてきた名作で、今回は5年ぶりの再演、そして座・高円寺での上演中に600回目の上演を迎える。
 公演初日の1日には、演出の木村光一、劇場の芸術監督の佐藤信、館長の斎藤憐のほか、作者の井上ひさしもかけつけ、久しぶりの再演と新劇場のオープンを祝った。
 このうち、芸術監督の佐藤信は、「新しい劇場を開場するにあたって、どうしても、井上さんの作、木村さんの演出、渡辺美佐子さんの出演によるこの『化粧』をやりたいと強く思いました。それは、この劇場は新作をどんどん作って方向性を打ち出すのではなく、再演をやっていくことで、いい芝居の財産を守っていくんだということを打ち出したかったから。お三方にはこの作品をこけら落としとしてこの劇場にプレゼントされた気持ちです」と語った。

 一方、本来は劇場主催や提携公演の主劇場となる「座・高円寺1」は、オープニングは演劇ではなく、子どもから大人までが楽しめる絵本1000冊を自由に手にして読める「旅する絵本カーニバル」というイベントを開催。期間中は毎日3ステージ、大道芸のパフォーマンスも行っている。
 また5月3・4日は、高円寺の9つの商店街にある20か所と劇場をステージにした「高円寺びっくり大道芸2009」を開催。これは、座・高円寺の佐藤信芸術監督が、世田谷パブリックシアターにいた当時に始めた「三茶de大道芸」と同じく、大道芸プロデューサーの橋本隆雄氏と企画して実施したもの。30組以上のパフォーマーたちが高円寺のさまざまな場所でショーをくりひろげ、かつて寺山修二が阿佐ヶ谷で行った市街劇『ノック』を思い起こさせるような光景が繰り広げられた。


座・高円寺オープニング企画

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