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2008年8月21日

築地小劇場(つきじしょうげきじょう)

 築地小劇場(つきじしょうげきじょう)とは、第2時世界大戦以前の新劇活動のメッカであり、戦後の新劇にも大きな影響を与えた劇場、および劇場付属の新劇団のこと。

 築地小劇場は、関東大震災の知らせを受け留学先のドイツから帰ってきた子爵土方与志(ひじかたよし)が、廃虚となった東京を見て、新しい演劇の実験室を作ろうと、私財を投じて建てた。木造の小劇場で観客定員は400名、1924年に開場した際には劇場の正面と緞帳にシンボルマークとしてバッカスを意味するぶどうの房が描かれていた。
 この劇場の特徴は、専属の劇団を持っていたことである。演出家として土方、小山内薫、青山杉作、俳優として汐見洋、友田恭助、山本安英、田村秋子、千田是也がいて、リアリズム演劇を目指した。また、土方とともに劇場の同人であった小山内は、新しい俳優を育成するため、劇団創立2年間は翻訳劇だけを上演すると宣言し、是を実行した。また、新しい俳優を得るために素人から育成する方式をとり、滝沢修、杉村春子、村瀬幸子、東山千栄子、丸山定夫らを育てあげた。小山内は、俳優のみならず、照明、音響、衣裳でも優れた人材を生み出し、また日本で初めて演出家という職能を確立させた。特に、第1回公演のゲーリング作『海戦』は、その構成主義的な美術とともに大反響を呼び、演劇史上に残る公演だったという。
 その後もチェーホフの『三人姉妹』『桜の園』、ゴーリキーの『どん底』などを上演、また3年目以降は坪内逍遥『役の行者(えんのぎょうじゃ)』、谷崎潤一郎『法成寺物語』、藤森成吉『何が彼女をさうさせたか』など、創作劇の上演にも力を注いだ。
 しかし、28年末に小山内が突然他界することで、劇団内に早くから生じていた政治演劇志向と芸術劇志向の対立が表面化し、翌年劇団は分裂した。以降は、新築地劇団、新協劇団がこの劇場を貸館として利用、40年に両劇団が弾圧のため強制解散させられた後は、文学座が主に利用するようになった。
 44年12月に文化座が『牛飼いの歌』を上演したのが、築地小劇場での最後の舞台公演となり、戦局の悪化とともに公演が行なわれないまま、45年3月の東京大空襲で焼失した。

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