(1)能の曲目。4番目物。女性の恋の激しさを大胆な演出で描いた人気曲。構成の舞踊、演劇に大きな影響を与え、「道成寺物」の系譜を生んだ。原典となった「今昔物語集」では、未亡人の愛欲が蛇体となって男を鐘もろとも焼き殺すが、能では男のたわむれを信じた乙女の一念をテーマに、後世に再興された鐘供養の場に乙女のおん念が白拍子の姿で現れる形になっている。観世信光の『鐘巻』を切り詰めて、技術的に先鋭化した作品で、舞台に実物大の鐘を吊ることや、落下する鐘への飛び込みなど、他の能の演目には見られない演出が見られる。
