TPTが12月28日から上演する『ウルリーケ メアリー スチュアート』は、同カンパニーが本拠地としてきたベニサン・ピットでの最後の公演になる作品だ。ノーベル文学賞した劇作家ウルリーネ・イェリネクが、シラーの『メアリー スチュアート』を下敷きにドイツ赤軍派の女戦士ふたりの対立を重ね合わせた難解な作品を、演出の川村毅はさらに日本赤軍の活動を重ね合わせて描くという。初日を数日後に控えた川村を稽古場にたずねた。
TPTが今回上演する『ウルリーケ メアリー スチュアート』は、ノーベル賞受賞作家エルフリーデ・イェリネクが2006年に発表した作品。シラーの『メアリー スチュアート』に登場するメアリーとエリザベスの対立を、1970年代にドイツ赤軍で活動したふたりの女性ウルリーケ・マインホーフとグードルン・エンスリンに置き換えた物語だ。今回日本での上演にあたって、演出を担当する川村毅は、この戯曲にさらに70年代日本の連合赤軍のイメージを挿入した上演台本を作成した。
今回の公演でもうひとつ話題となっているのが、TPTが長年本拠地として活動してきたベニサン・ピットが1月末で閉館となるため、これがTPTのベニサン・ピット最終公演になるということ。1993年の第1回公演『テレーズ・ラカン』からそのほとんどを本拠地であるベニサン・ピットで上演してきたTPTは、次回以降また新しい活動拠点で活動をすることになる。ちなみに第三エロチカからティーファクトリーへと長年活動をしてきた演出の川村は意外なことに今回がベニサン・ピット初登場となる。
聞き手:STAGEWEB編集部 柾木博行
『ウルリーケ メアリー スチュアート』は、12/28(日)−30(火)・1/3(土)−10(土)東京・森下のベニサン・ピットで上演。
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以下、各写真をクリックするとインタビューのビデオを再生します(FlashPlayer8が必要です)。
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■今回の演出のきっかけ
今年『毛皮のマリー』上演の際にインタビューしたときには予定に入っていなかったこの公演。『毛皮のマリー』が終わった後にTPTの門井均プロデューサーから依頼されて、まだ翻訳も出来ていなかった段階だったのに引き受けたのは、イェリネクが興味のある劇作家だったからだという。 |
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■劇作家イェリネクについて
イェリネクについて川村は、論創社から刊行された戯曲「汝、気にすることなかれ−シューベルトの歌曲にちなむ死の小三部作 (ドイツ現代戯曲選30)」 |
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![]() | ■日本の連合赤軍の話題を加える理由
自身をノンポリだと語る川村だが、イェリネクが同世代のバーダー・マインホフ・グループ(ドイツ赤軍の別名)を扱った今回の作品を日本で上演するからには、日本赤軍に触れざるを得ないと考えたという。また、浅間山荘事件の生中継の鮮烈な記憶、またそれがその後の日本の映像作品に与えた影響も無視できないと語る。 |
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![]() | ■ウルリーケとグードルンの場面を日本に書き換えていない理由
そのまま上演すると3時間を超えるという膨大なイェリネクの戯曲。川村は書き換えたりはせずに、オリジナルを再構成した中に、連合赤軍の元活動家・植垣康博の手記などをコラージュして描いた。それによってウルリーケの頭の中に浮かび上がる革命のイメージと対比させる表現にしたという。 |
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![]() | ■9.11以降の状況とこの作品の関係
今回の日本初演についてイェリネク自身が「ドイツ人でないと分からない」と語ったというほど、ドイツ語の戯曲には固有名詞や当時の状況が盛り込まれている。川村はその中から時代や場所に固定されない部分をすくい上げて上演台本を校正したという。また、イェリネク自身が共産主義革命について無批判に書いていないので、全体を見れば、現在の9.11以降の時代が浮かび上がってくる構造になっていると語る。 |
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![]() | ■翻訳劇と日本の作品を演出するときの違い
川村が気にしているのは翻訳劇と日本の戯曲ということよりも、普通の物語性のある作品よりも物語を解体したポストドラマ的要素のある方が演出しやすいという。また2003年に上演したサラ・ケイン『4時48分サイコシス』のように、現代の翻訳作品をそのまま上演するときは自分で書いた方が早いと思うこともあると語る。 |
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![]() | ■ワークショップでのオーディションについて
オーディションで出演者を選んだ際のポイントは見た目で背が高いかどうかと、膨大なせりふに耐えられる技量があるかどうか。内的心理で作っていく作品と違って、ポストドラマの舞台では、演出も含めて見た目が重要になるという。 |
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![]() | ■ベニサンピットについての思い
これまでにもベニサン・ピットで公演をしたかったが果たせずにいたという川村。今回の演出を引き受けたのもベニサン・ピットで演出できるという点があったと語る。ただ、いくつかの劇場の閉鎖が報道されることについては、それぞれ個々の問題があっただろうし、それらをまとめて悲観論的に語ることには違和感があるという。 |
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![]() | ■今後の予定
来年の川村の予定は、09年上半期に文学座の小林勝也とのコラボレーションで続けいている『路上』シリーズの第3弾を発表して、これまでのシリーズと合わせて3作を連続上演。その後は2010年3月に吉祥寺シアターでティーファクトリーとして新作を上演するという。 |
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